長野県上田市で障害のある人への相談支援を行うアトリエを開設。地域に開かれた「路地の開き」やパレードを企画したNPO法人リベルテの武捨和貴さん。
武捨 和貴(むしゃ・かずたか)
1982年長野県生まれ。通信大学卒業後、地元上田市に戻り社会福祉法人かりがね福祉会「風の工房」に8年勤務。2013年退職、同年NPO法人リベルテを仲間と設立し障害福祉サービスを運用して市街にアトリエ「スタジオライト」を開設。2021年、障害のある人への相談支援を行うrojiを開設。現在、同法人代表理事、福祉事業の管理者を兼ねる。
2020年日本財団の助成を受け市街とサービス開設前の古民家を使ったリベルテで生まれた作品と地域の関係性を見せるアートイベント「ちくわがうらがえる」を企画。2021年は福祉施設を地域に開放するために施設の庭を「公園」にすべく「路地の開き」を実施。2022年は信州アーツカウンシルの支援を受け公園から市街に向けて仮装してドライフラワーを配るパレードを開催した。
メンバーにしゃむと呼ばれている。妻と子2人と猫の4人と1匹暮らし。
長野県上田市真田町は、武田氏家臣で豊臣秀吉の時代で大名になった真田氏発祥の地である。2006年に上田市に合併された。その真田町で生まれ、名前の武捨(むしゃ)は武田を捨てたから武捨と名乗りだしたという説が残っているそうだ。高校を卒業後は京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)に進学するも、なかなか作品を作るモチベーションがあがらずにいた。作る側より支援側にがいいと思い、大学内にあった図書館でボランティアをし、子どものアート支援に関わった。途中、佛教大学の通信教育に編入。そこで社会と芸術をテーマにした先生と出会った。
上田市の福祉施設「風の工房」が企画していた展示会を訪れ、その後そこで働くようになった。施設では支援者としか出会うことがなく、社会と繋がる接点がなかった。地域の中に障害者がいる風景で、どうやって社会に出していくかという課題と向き合いながら勤務した。障害者にとって施設に行くのではなく、絵を描きに行くというように本人の主体性で選べる施設があったほうがいいと考えるようになった。
2013年「リベルテ」を設立。「リベルテ」とはフランス語で「自由(liberté)」という意味で、今日はこれをやりましょうと決まったプログラムはなく、それぞれが、そのときにやりたいことに取り組めるようにした。
NPO法人リベルテでは就労支援、介護、相談支援を軸に活動を行っていて、登録者は53人。半数が通ってきて絵など描いたり創作物を作ったりする。施設のことを「アトリエ」と呼び、通ってくる方たちを「メンバー」と呼んでいる。
2021年から「路地の開き」といって、自分たちがいるアトリエと、クルマ3台分くらいの小さな庭を取得した。ガーデナーさんのデザインのもと、メンバー、スタッフ、地域の人たちと土を耕し、草木を植え、小さな公園にした。みんなが集まる場所にしようと考え、障害がない人も入りやすい場所にと作品の展示会場にもなっている。メンバーと地域の人とが交流しあい、文化活動の中心にしたいと想いを馳せる。
2022年9月、町の人とも一緒に企画をしようと、どう町に広げていくかを考えてパレードを行うことにした。福祉施設だけど福祉っぽくない。近所の方ははじめびっくりしたようだが、町に開いたからこそリアクションが生まれた。近所の方に同じ仲間意識をもってもらいたい。パレード当日に準備してると近所の方が話しかけてくれたり、そうした小さな関わりが嬉しく感じ、安心して活動できると思った。パレードは2時間くらい上田市内を巡り、50人が参加した。
メンバーとの作品制作を続けていきたい。
10年かかってクッキーづくりできるようになったメンバーもいる。深い意味で伝わるもの、受け取ってもらえるもの、時間がかかる事業ができたらいい。町に自分たちが貢献できること、ケアされる側から、癒し助け合える関係をメンバーとともに地域と築いていきたい。経験した視点からメンバーとアートで表現したい。
園芸、3ヶ月に1回、メンバーと開催している「TVゲームの会」
Instagram(@npo_liberte)
・小さな公園でのんびり過ごせます |
・メンバーとリベルテのアトリエで過ごすことができます |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
停車場ガーデン
長野県小諸市相生町1丁目1−9
YUSHICAFE
長野県佐久市協和2379
マルキラーメン
長野県上田市秋和194−1
バザールカフェ
京都府京都市上京区烏丸今出川上ル岡松町258
公式サイト
純喫茶 クンパルシータ(現在は閉店)
京都府京都市中京区河原町四条上ル二筋目東入紙屋町
・鈴木真知子(この街学園/アトリエももも)
・直井恵(うえだ子どもシネマクラブ)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
鈴木さんからの紹介でインタビュー。ひとりひとりの感性が生み出す表現がアートとなり、それが町を彩っていく。すごく自然で美しい活動だなと思いました。上田に行った際にはアトリエと庭にも遊びに行きます。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |