100人、100通りの人生とまちの風景、キーパーソンに会いに行こう

【広島】田中政敬(HafH)

海外旅行関係の仕事をやめて民泊、地域おこし協力隊などを経て、HafHに転職。全国の宿泊施設の提携先を開拓している田中さん。これまでの人生を振り返っていただきました。

プロフィール

兵庫県西宮市生まれ、京都育ち、社会人として大阪・名古屋・東京の三大都市圏で働いたあと瀬戸内海の佐木島&小佐木島で地域おこし協力隊に。ヨーロッパを始めロシア・中近東・アフリカなどへの海外旅行の手配の仕事に長年携わり、外国人向け古民家民泊の管理人、異文化国際交流ツアー主催などを経て現在に至る。

海外旅行会社からのキャリアスタート

好きな時に好きな場所で働くための住まいが見つかる定額制サービス『HafH』(ハフ)でコーディネーターとして、国内のホテルやゲストハウスなど宿泊施設と提携交渉を行う仕事をしている田中さん。毎月定額で、全世界に住むことのできるプラットフォームを目指す、新しいサブスクリプション型住居サービスを事業推進している。2019年に創業した会社で『HafH』の運営会社・KabuK Styleに籍を置き、創業まもないころは長崎にできた1号店のスタッフとして働いていた。入社3ヶ月後からは日本や海外で実際にHafHのサービスを自ら利用して多拠点生活を2年以上続けている。

田中さんのキャリアスタートは、ミキ・ツーリストで17年間旅行会社から委託を受けて、海外での宿泊や現地サービスの手配をする仕事をするツアーオペレーターだった。ミキ・ツーリストといえば海外旅行のエキスパートで、旅行業界では知らないものはいないほど有名な会社だ。その後個人事業主として独立してツアーを作ったりしていた。高尾山や日光、鎌倉など外国人観光客に人気の観光地を外国人と日本人で一緒に旅をする中で案内し、海外の人と日本人を繋ぐことに喜びを感じていた。

旅行と旅の違いに気付かされる

たまたま飛び込み営業で行った会社で、うちは旅行ではなく旅を売っている。旅行を売ってるお前に頼む仕事はないよと、そこの社長に言われたそうだ。日本で唯一「旅行」ではなく「旅」を扱う『地球探検隊』。「旅行」は誰かに連れて行ってもらう受け身のもの、「旅」は自分で考え、判断し、行動する主体的、能動的なもの。旅の醍醐味は、旅する仲間で何ができるか、何を感じるか、何をしたいかという“体験”“体感”“目的”を共有することにより、旅が終わってから新たな繋がりが生まれる事だと。

実際にその会社の旅に参加してみて、ようやく社長の言ってることが腑に落ちたという。自分で作り上げていく旅のほうがコミュニケーションも生まれて、ひとつの旅が終わると作品を作ったように参加者同士の繋がりや絆が出来たそうだ。それまでは大口の仕事、VIP向けの仕事などやってきて、旅行が消費されていて継続してなかったことを思い出す。しかし旅は繋がり継続してゆくものであった。

民泊運営、そして地域おこし協力隊

Airbnb(エアビーアンドビー)が日本に上陸し出した頃、築地にある築100年の長屋でゲストハウスの管理人をやらないかと誘われる。友人らと改装して2年くらい民泊をやった。外国人観光客に人気でたくさん来てくれた。海外の人たちは旅行先として東京、京都、広島が多いということを教えてくれた。

海外の人たちが行く広島の魅力とは何だろうと思い続けていた。たまたま仕事の関係で瀬戸内海に行った時、瀬戸内海の島々の光景に惚れ込み、偶然にも地域おこし協力隊の募集を見つける。広島県三原市と市内にある2つの離島、佐木島・小佐木島での地域おこしの仕事だ。直感で応募し採用された。そこではその島の存在を知ってもらい、興味を持ってもらい、来てもらう動機づけ・理由を考え続け、一つづつ形にしていった。

佐木島と小佐木島は、広島県三原市に属する芸予諸島の島。毎年8月に「トライアスロンさぎしま大会」が開催されている。

引用:Wikipedia

 

「日本をお祭りで元気にする」オマツリジャパンと一緒に三原のやっさ祭りに、祭りが好きな人たちを集めて地域の方々と一緒に、やっさ踊りを踊った。風の人と土の人を繋げて新しい風土(ムーブメント)を生み出そうとした取り組みは、今でも心に残ってるそうだ。この取り組みは、地域だけでなく外国人と日本人の心も一つにできた取り組みだった。翌年には留学中の外国人とも一緒にやった。祭りは地域の人たちと外の人たちを繋ぐ素晴らしいツールであることを実感できたと語る。

廃校の危機にある島唯一の小学校に、JICAの研修で日本に来られている途上国の方たちを小学校の子どもたちと繋げて、島にいながら海外を感じてもらえる取り組みも新たに始めた。この学校は、世界につながる島にしようと、英語教育を目玉にしようと取り組んでいて、ALT(外国語指導助手)を強化している。通常は週に1回くらいだが、この小学校は週5日のうち4日も終日勤務している。授業以外にも給食や運動会でALTが英語で紹介したり、英語でゲームをしながらコミュニケーションをとったりもする。社会科見学では全校生徒で広島市に行き、平和記念公園や原爆ドームを訪問している外国人観光客に、班ごとに分かれて、島のクイズをしながら島のPRを英語でやってるそうだ。

そういた島での活動をする一方で、東京・京都のビジネス交流会に顔を出しては、その島のPRを毎回やっていた。後から思えば、島の外での活動時間が長くなり、島にいることが少なく、結果として地域の人たちに喜んでもらえるような成果をしっかり形え残せなかった事もあり、今も住民票を三原市に置いていつか三原と島に恩返しが出来ればとの思いを今も持ち続けている。

HafH(ハフ)との出会い

前職までの経験もあって、外国人と日本を繋ぎたいという想いは強く残っていた。海外旅行の仕事もしていたので、自分は外国人とのコミュニケーションは出来るのだが、一般的にみんなは外国人とのコミュニケーションのハードルが高い。しかし少子高齢化の社会において、外国人の方抜きにはこの先の日本は語れなくなっていくとの思いもあった。自分が経験したこと、人との繋がりを次世代にバトンを繋いでいきたいと考え出した時、とある自己啓発セミナーで「人にとって本当に幸せな人生は物心共に豊かな人生を生きること。つまり物も心も豊かな人生。」

時を同じくして読んだ神田昌典さんの本で出会った『70年周期説』。70年周期で時代を分析すると、時代の移り変わりが予測できるというものだ。価値観は変わっていく。近いうちに会社(オフィス)がなくなり、世の人たちは家庭以外の大きな所属場所を失う。そこで重要になってくるのがコミュニティだと。大量生産と大量消費が産み出したのは物の豊かさ、一方で心の豊かさはどうか。そこで小さくやって満足できることを継続してやりたいと思った。そうだこれからは地方の時代だと。前後今まで日本が作り上げてきた社会の仕組みと逆のことがみんながやって行けば、その先には心の豊かさがあるのでは。

そんな時、クラウドファンディングで今の会社(ハフの運営会社・カブクスタイル)を見つける。それが長崎に出来るハフの1号店となる宿のスタッフ募集だった。HafH(ハフ)は,「Home away from Home=第2のふるさと」の頭のアルファベットをとったものだそうだ。長崎の眼鏡橋の近くにできた1号店は、1階にカフェ、2階にコワーキングスペースと観光客用ドミトリー、3階にコーリビング用のシェアハウスを設えている。

HafHとは、毎月定額で利用できる多拠点居住サービスで、国内海外800拠点以上の宿泊施設と提携し、Wi-Fi環境も完備。会員登録をしサブスクリプションによる定額課金制。1泊3,000円/月、5泊16,000 / 月、10泊32,000円/月、1ヶ月82,000円/月の料金プランがある。

引用:HafH

 

これからどうしていきたい

出会いは偶然、繋がりは必然。好きな時に好きな場所で働き暮らしながら、そこで出会った人たちをハッピーにしたい。近江商人の三方良しのような考えが好き。元気である限り、自分が面白い場所を作りたい。つながっている人たちに有益な人をつなげていきたい。
例えば、日本酒に詳しい酒屋さんがいたとして、その方が全国を旅してそこで酒のストーリーを伝えていく。旅する酒屋さんという生き方をプロデュースしてみたい。誰もが好きや得意を仕事にして、シェアしていく、そして海外の人とも繋げていきたい。

パッションポイント

ドライブ、日経新聞を毎朝読む、写真

公式サイト、出版物など

HafH(ハフ)公式サイト

Instagram ( @nantokasento )

チケット(私のできること、得意なこと)

・人を紹介する
・旅のノウハウ教えてます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

賀茂川(京都)
賀茂川と高野川が合流点の出町柳より上流を賀茂川、下流を鴨川と呼び、総称を鴨川と言う。

お気に入りの場所(アウェイ)

Adliv(アドリブ)
徳島県美馬市脇町大字猪尻字若宮南131-2
公式サイト

【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!

つながり

齊藤秀男(長崎市琴海地区地域おこし協力隊)

中川和也(一般社団法人ハンモサーフィン協会理事)

小川智恵(TANEHUB)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

ひょんなきっかけでHafHの方と知り合い、その方から紹介いただいたのが田中さんだった。生まれは兵庫県、その後京都で育ち、現在は多拠点生活をしながら全国を転々と渡り仕事をされている。長い期間生活していた場所が京都ということだったので今回は京都のキーパーソンとして紹介しています。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
野田国広の記事一覧