100人、100通りの人生とまちの風景、キーパーソンに会いに行こう

【川崎】山本美賢(ノクチ基地)

企業人時代はカラオケのカロリー消費表示で大ヒットを生み、川崎に引っ越して来てからはクリエイティブの地産地消を目指して経済活動やコミュニティで活躍する山本美賢さんにインタビュー。

プロフィール

たまがわ50合同会社役員
株式会社ロックアップ代表取締役会長
一般社団法人減災ラボ理事
一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク理事
公益財団法人かわさき市民しきん理事

1963年愛知県岡崎市生まれ。川崎市溝の口在住。日本大学芸術学部卒業。
テレビ制作会社でニュース、ワイドショーCG担当→映像制作会社でアシスタントプロデューサー→株式会社第一興商に転職し、カラオケ歌唱でカロリー表示の仕組み「カロリーカラオケ」の企画発案&サービスリリース。その後ベンチャー企業を経て2002年に企画制作会社、株式会社ロックアップを目黒区に創業。さまざまなクライアント、クリエイターと出会いながら多くの成果物を残す。

2011年東日本大震災、2016年の熊本地震の被災地支援がきっかけで現地の方々の知見を学び、以降、ワークショップ、著作物などの地域防災減災活動に携わる。

2018年には地元川崎市で「クリエイティブの地産地消」を旗印に高津区溝の口を拠点に「株式会社ノクチ基地」を沿線クリエイター仲間と立ち上げ、行政、市内企業のさまざまな制作物を手がける。得意な分野は企画、キャスティングを主体とした「提案型制作物」。制作による社会課題の解決と地域の魅力向上は永遠のテーマ。趣味はママ友たちとの多摩川沿いのウォーキングと市場通い&料理。

カラオケのカロリー消費表示を発明・リリース

生まれたのは愛知県岡崎市で、その後は高校時代まで千葉県で過ごした。子どもの頃から絵を描くのが好きだったという事もあり日芸に進学。卒業後はテレビ制作やカラオケ事業関連会社でデジタルコンテンツの企画開発に携わる。そこでカラオケを歌った後に表示されるカロリー消費機能の発案者が山本さんだった。リリース時にはテレビ局や新聞社など取材が殺到。大きな反響となった。しかし本人の中では会社にどれだけの利益、貢献があったかが分からなかったそうだ。自分がやったことの効果や数字が実感できるように、自分で仕事をしたいと思った。

独立の勉強のためにと、ベンチャー企業に働いたのち、2002年に株式会社LockUPを設立する。LockUP(ロックアップ)とはプロレスで 最初に組み合う形のことで、クライアント、クリエイター、自分達のプライドのために、いつでも仕事とロックアップして向かい合っていくという意味が込められている。大手広告代理店が大手のWEB系の仕事を受け持ち、なかなかフリーのクリエイターたちが活躍できなかった時代に、さまざまな場で出会ったデザイナー、ライターやカメラマンたちと一緒に仕事をしては打ち上げを繰り返し、本当に楽しかったと振り返る。設立当時は3人だったのが、会長として社長の座を譲った時には10人以上の社員数になった。社長交代式の際にはプロレスのリンク上で新社長の長尾さんをアントニオ猪木さんばりのビンタをするパフォーマンスもやった。

代表交代パーティーでの「闘魂伝承」の儀

大震災、そして溝の口に引っ越し

2011年に東日本大震災が発生した時には仲間と現地の知人、企業に声をかけ、知人のいた石巻市へ支援を行なった。交流が始まり、翌年仲間と制作の人間としてもまだ何かできることがないかと石巻を訪れた。その頃の石巻市には地元出身のクリエイターたちが帰ってきて地域経済復興のためにクリエイティブやIT分野でさまざまな事業を立ち上げ、活躍し始めていて、Yahoo!やGoogleなどのIT企業も様々な支援や連携をを打ち出していた。支援しに行ったつもりが、活躍してる若者たちを見て、支援どころか負けた気持ちで東京へ戻ったという。そして石巻のクリエイターたちと一緒に仕事をしたいと思い、何度も足繁く通い、一緒にメディアを立ち上げたり、ことあるごとに仕事やプロジェクトを作り連携してきた。

川崎で実施した九都県市防災訓練では川崎、石巻、熊本・益城町の連合チームを結成し、中心的な防災コンテンツで会場を盛り上げた。

震災があった11年には、川崎市の溝の口に引っ越した。約57,000平方メートルの広大な敷地に12棟のマンションが建ち並ぶ「パークシティ溝の口」は、全1,103戸の街が溝の口駅の近くに広がる。引っ越してすぐに理事に選ばれて、ホームページを制作しマンションコミュニティに関わるようになった。カフェのように気軽な住民交流の場として「ぱーくCafe」を設置したり、近隣マンションと連携したトークショーや、世田谷の人気オーガニック八百屋による野菜の販売とジャズ演奏のコラボ「八百屋ジャズ」、クリスマス、秋祭りイベントもやった。

クリエイティブの地産地消

この頃はローカルとデザインに興味を持ちはじめていて、2年間地元に密着した活動をして、LockUPの社長交代と地域内で会社を起こそうと考えていた。地元で仲間を見つけ、JR南武線や東急沿線でみんなが何を求めているのか、PTAをはじめ、民生委員、自治会などにも積極的に参加した。

溝の口駅前にあるマルイや川崎市などとも一緒に仕事をしたいと思い、地元クリエイティブチームを作るために優秀な人材が豊富なベッドタウンである市内や沿線でデザイナーやカメラマンなど制作仲間探しをひたすら続け、時には川崎への引っ越しを勧めるなど、数年にわたりスカウト活動続ける。次に拠点を探そうと地場不動産会社のエヌアセットに相談して、築90年の産婦人科医院後をリノベーションしたシェアオフィス『ノクチカ』に入居し、2018年に『ノクチ基地』を設立した。

ノクチ基地メンバーと自己啓発、チーム力向上のために受けたワークショップの様子

カワサキカレーパン

2018年度の川崎市農商工連携事業モデル事業として、山本さんが提案した企画が採用された。その企画とは、市内生産者・料理家・福祉法人などと連携して、野菜が採れすぎる時期に収穫された旬の地元野菜を使ったカレーパンを開発し、販売するというもの。「カワサキカレーパン」という名前で、地元つながりで料理家の上島亜紀さん監修のもと、野菜を生地にも具にも練んだトマトの酸味と甘みが詰まったカレーパンレッド、ほうれん草をベースにスパイシーなタイカレー風のカレーパングリーンの2種を作った。カワサキ競馬場やアトレ川崎でのイベントのほか、『ノクチカ』でも販売した。

ロゴや商品撮影などには制作チームの本領発揮

溝の口減災ガールズのデザインも

2016年に発生した熊本地震後に、支援した経験や益城町の方の「経験をまだ災害のない地方に生かしてほしい」との言葉を受け、溝の口エリアのマンションが共同で防災訓練『炊き出しフェス』を開催し、奥さんの山本詩野さんが中心となって「溝の口減災ガールズ」が誕生した。豚汁を提供する一方通行の防災訓練ではなく、自分ごとにできるものにしようと、ローリングストックを結びつけた参加型のワークショップを行っている。高津区役所と協力しガイドブックの作成など、デザイン面を山本さんが協力している。

2017年「ぶらり途中下車の旅」でマンションの防災訓練の取材を受ける。リポーターはタレントの渡辺裕太さん

復興バーで石巻を応援

銀座4丁目で期間限定の『復興バー@銀座』が行われた。復興バーの本店は宮城県石巻市にあり、2013年から復興支援を目的に期間限定オープンしていた。被災地 を忘れず、風化をさせない。被災地の美味しい食事とお酒を楽しみながら、被災地にご縁のある方々と会話を楽しむという企画だ。改装前の居抜き物件を期限付きで活用することで、賃料が高い銀座でも出店できた。日替わりで東北と縁がある人やチームが日替わりマスターを務め、山本さんも、第2回からマスターを務めていて2019年には減災ガールズとのコラボ企画を実現した。

川崎市市政要覧を制作

ノクチ基地では、2020年、2021年と川崎市が発行する「カワサキノコト -川崎市 市勢要覧」の冊子制作を担当。2021年の表紙デザインはコロナ禍で実際に触れ合えないからこそ「触れ合い」「つながり」をあえてテーマとした。川崎市に本社を置く日本理化学工業株式会社のキットパスを使って、市民の手のひらアートを集めた。さらにアーティストの板鼻みゆきさんに「つなぎ合う手と手」を描いてもらってデザインした。当初は100人を目標にしていたが、数週間で700を超える手形アートが集まったという。予想以上の反響で、コロナ禍に最前の注意を払いながら形にできたことは感謝と感動があると山本さんは話す。

多摩川を挟み新会社「たまがわ50」

2021年には多摩川を挟み川崎市と世田谷区側の50代メンバー有志で合同会社も設立し、多摩川流域の魅力を伝える力と課題を解決する力、50年以上のキャリアをもつメンバーが結集し、たまがわ50合同会社も設立した。企業のテーマは「#俺たちには時間がない」だけに今後の活動も目が離せない。

ノクチ基地やたまがわ50は、より自由な働き方を目指し、インターンや副業をしたいと思っている人を常に募集してるという。気になったら連絡とってみてください。

これからどうしていきたい

かわファン(クラウドファンディング)などに限らず、市民がやりたいことを実現するための提案、仲間集め、資金調達や発信ができるプラットフォームを作っていきたい。またこの指止まれの精神で、地方のクリエイティブ団体とも活発に連携して頑張っていきたい。

近い将来的、「株式会社山本家」息子と奥さんの3人の会社を作るのが目標。年度末の株主総会(家族会議)では利益の使い道(家電?旅行?)を決めたりしたい。

パッションポイント

料理(漁師飯)、ゆるいウォーキング

公式サイト、出版物など

ノクチ基地

株式会社LockUP

チケット(私のできること、得意なこと)

・遊ぶように働くことが得意です。レクチャーしますw

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

キラリデッキ
神奈川県川崎市高津区溝口1
ノクティの画面で、自分たちが作った映像作品を見るのが好き

お気に入りの場所(アウェイ)

宮島
広島県廿日市市

長面
宮城県石巻市長面

つながり

・今野英樹(今野梱包)

・長尾純平(LockUP)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

山さんとの出会いは2014年に川崎市の新丸子にあったコワーキングスペースで毎週やっていた川崎パワーランチに参加してくれたのが始まりで、その後グリーンドリンクス川崎のイベントに登壇してくれました。なかなかゆっくり話す機会はその後なかったですが、川崎市市政要覧のパンフレット表紙のプロジェクトで再開し、そこでクラウドファンディングに挑戦しないと打診されて、今回のソーシャルタウンガイドが実現できました。その縁もあり100番目の記事としてインタビューをお願いしました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
野田国広の記事一覧