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【神奈川】石井光( EdiblePark湘南 )

茅ヶ崎でコミュニティ農園を運営し、地元藤沢でパーマカルチャー的集合住宅も計画中という石井光さんにインタビュー。

プロフィール

1990年生まれ。神奈川県藤沢市辻堂出身。東京農工大学農学部卒業。

一般社団法人EdiblePark湘南 代表理事。
会員制コミュニティ農園EdiblePark(エディブルパーク)茅ヶ崎代表shareliving縁と緑運営/コラージュ辻堂(高齢福祉施設)大家さん/辻堂の地主の1人である祖父の土地を引き継ぎ大家業を営む。持続可能な農のある暮らしであるパーマカルチャーをテーマに集合住宅ちっちゃい辻堂(仮)を計画中。

社会のレールから外れ、ロンドンへ

藤沢で大家業を営んでいる家で生まれ育った石井さん。小さな頃から両生爬虫類、トンボ、クモが好きで、自宅周辺にいたカエルなどが減っていくことに寂しさを覚えた。大学は東京農工大学の農学部に進学して生態学の研究に没頭する。一方で、自分たちの暮らしと切り離して、保護区のようなかたちで生き物を守ることの限界を感じていた。大学の特別講義に来ていた山﨑亮さんのコミュニティデザインにも興味をもちはじめたのもこの頃からだった。大学院1年、カエルの研究で奄美大島に滞在していた時、運転していたクルマが4分の3回転するほどの事故を起こしてしまい、研究が頓挫してしまった。その後新しい研究テーマを模索するが見つけることができず、大学院2年に上がるタイミングで研究の中間発表も就職活動も始めなければいけないが、そのどちらもすることができず、今まで乗ってきたつもりの“良い”学校、“良い”会社という社会のレールから外れてしまったと思ったそうだ。

就職活動や留年、退学のどの選択肢も選ぶことができず、いろいろとじっくり考える時間が必要と思ったため、休学してロンドンに8ヶ月滞在。そこで価値観が大きく変わった。日本のようにガチャガチャした景観ではなく、街の景観に統一感があり美しく、まちに時間がちゃんと蓄積されているように思えた。自然と調和し街の中に大きな公園もあり、生き物の居場所もちゃんとあった。ロンドン滞在中に生物多様性保全とコミュニティデザインについて興味があることを話していると、友人からパーマカルチャーという考え方を教えてもらう。帰国して1年半くらい自然保護系のNPOに関わりながら、同時期にパーマカルチャー(Permanent Agriculture or Cultureの略。持続可能な農のある暮らし)のコースに通った。

茅ヶ崎のコミュニティ農園の代表に

2017年、茅ヶ崎市赤羽根に約800坪の会員制コミュニティ農園「EdiblePark茅ヶ崎」ができることを知り、運営に関わり始める。2019年からそこの代表になった。Edible(エディブル)とは「食べられる」という意味で、土地を開墾し、野菜を育て、ニワトリを飼い、食の一部をコミュニティで自給している。「EdiblePark茅ヶ崎」は個人個人の区画がなく、その代わり全部共有となっており、一緒に作業して、収穫を分け合う仕組みだ。メンバー同士のコミュニケーションが生まれ、一緒になって作っていく。現在は21組のメンバーがいて、長い方は4年目の人も。誰もが当事者意識で関わってくれているという。

作りたい野菜の栽培方法はメンバー自身が調べて実践する。2020年の春からメンバーさんの提案で班長制度を開始。トマト班、茄子班など班長がリーダーシップを取りながら野菜づくりをしている。リーダーではなく班長としたのは、小学校の遠足みたいな責任感がゆるいくらいが良いと思ったからだという。無農薬野菜などを育てるのはもちろん、ニワトリなどの農園の生き物と触れ合ったり、竹を切ってきて東屋をつくるようなDIYをしたり、火を使って新鮮野菜を調理したりと、昔のお百姓さんがしていたような、農的なこと全般について少しずつできることが増えてきている。

<EdiblePark湘南でできること>

  • 野菜作り(無農薬・無化学肥料)
  • ニワトリと遊ぶ
  • ご飯を炊く
  • 取れたて卵かけご飯を食べる
  • 味噌作り
  • 人と一緒に協働する楽しさ、大変さを感じられる
  • 土作りから体験できるなど

これからどうしていきたい

コミュニティ農園に関しては、畑だけではなく田んぼもはじめたい。高齢福祉や障害福祉、引きこもりや不登校など、農福連携(農業と福祉)の可能性も感じている。またまちなかの遊休地を畑にして、そこを介してコミュニティが育まれていくという可能性も感じている。

有機農家さんのもとでの1年間の農家研修が終わり、自身も有機農家として畑をはじめる予定。EdiblePark茅ヶ崎のある茅ヶ崎市赤羽根エリアにて、農地を探している。

大家業としてははパーマカルチャー的な集合住宅を23年春竣工を目指して準備を進めている。畑があり、食べられる果樹が植わっていて、井戸もあって、にわとりもいる。そこで出た生ごみは堆肥場で堆肥になり畑に行き、また野菜になるというような、小さな循環のある暮らしを作っていきたい。

大家業と有機農家の半農半大家の立場で、ローカルな自然と寄り添った暮らしにゆるやかにシフトしていくきかっけをつくっていきたい。

パッションポイント

農、障害福祉、芸術の3つが熱い!

趣味 読書、ランニング、ギター(最近はじめました!)

公式サイト、出版物など

Facebook EdiblePark茅ヶ崎

チケット(私のできること、得意なこと)

・ディープなまちあるきをします

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

さんわーくかぐや
神奈川県藤沢市本藤沢6丁目12番1号
障害があってもなくても、共に太陽のもとで伸び伸びと身体を動かすことで「生きる力を育む」ことを大切に活動している福祉施設。
公式サイト

お気に入りの場所(アウェイ)

ロンドン
観光協会サイト

つながり

矢野雅大(遊びでまちづくりする準備室)

齋藤佳太郎(サス研)

小林宏行(トランジションタウン藤沢)

岡部真久(クロマツプロジェクト)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

矢野雅大さんからの紹介でインタビュー。コミュニティ農園と市民農園と正直区別ができてなかったのですが、お話を伺って、すごく興味が湧いてきました。パーマカルチャーという言葉も漠然としてましたが、石井さんの活動はそれを分かりやすく体現してる気がします。これから先も楽しみです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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