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【神奈川】岡部真久(クロマツプロジェクト)

消えていく湘南のクロマツの風景を現代風に取り戻すため、クロマツプロジェクトを発足し、茅ヶ崎で活動を始めた岡部真久さんにインタビュー。

プロフィール

岡部真久

1979年神奈川県藤沢市生まれ
2005年東京農業大学院修士課程修了後、日本には日本らしい景色が作られていないと感じ日本庭園の道へ。3年の修行を経て2008年株式会社 日建設計へ入社。「庭」スケールを取り入れたランドスケープを国内外の都市空間につくり続けている。設計図では表現できない空間の質を表現するため、どんなに大きな敷地でも一木一草一石全てを自ら厳選し現場で丁寧に紡ぎあげている。2020年11月から湘南に新しい風景を提案する「クロマツプロジェクト」立ち上げ、風景と人の関わりを追求した町づくりをはじめている。

作品 東京スクエアガーデン、サクラマチクマモト、メトロポリタン鎌倉、ふふ京都等

受賞歴 グッドデザイン賞・国土交通大臣賞(屋上緑化コンクール)・IFLA AAPME Awards2020-Culture and Traditions(IFLA) 等

クロマツでまちのブランディングをしたい

神奈川県藤沢市出身。普段はランドスケープアーキテクトで、風景をデザインする仕事をしている岡部真久さん。主に東京都内のオフィスや地方の商業施設やホテルなどのいわゆる外構、造園のデザインを国内外で行っている。2020年以降のコロナ渦で、在宅ワークとなり都内へ通勤する往復3時間がなくなり、街を歩く機会が増えたとき、クロマツの風景が減少している変化に気づく。長年生まれも育ったまちであり、風景をつくる仕事をしているのに、生まれ故郷の風景が失われて行っていることを気づけなかった。

そこで仕事で培った能力を活かし、クロマツの風景を復活させようと2020年夏から準備を始め、11月に友人が市内につくった「ニュー公民館オープン」の際に、風景再生の初めの1本を植えました。それ以降現在までに30本のクロマツが街に植えている。かつてあった地域の風景を未来へとつないでいくために、現代に合わせた「新しい湘南の風景」を提案する活動を取り組んでいる。

クロマツの苗木とオシャレ植物のセット販売

定期的にニュー公民館や地域のイベントで販売会を開催。本業の繋がりを活かし、植物を原価で仕入れることができる。クロマツの苗木を庭に植えてくれる方限定でオシャレ植物を超低価格でお譲りする「クロマツセット」を販売している。他のお花屋さんにご迷惑にならないようにクロマツの苗木を植えてくれる方限定のサービスであり、庭づくりをお願いする所までは難しい方向けにオススメだ。

マンション住まいの方にもプロジェクトに参加してもらえるように、ベランダで育ててもらい大きくなった木を街へ植え替えていく仕組み作りも行っている。この植え替えは小学生たちにやってもらい、街の風景を未来へつなぐ手伝いをしてもらい、彼らの記憶にクロマツの風景が残るように「記憶のデザイン」もしていきたいと考えているそうだ。

新しい湘南の風景づくり「山と海をつなぐクロマツの庭」

湘南にクロマツとオシャレな植物を合わせた庭をつくり、風景を未来へと紡ぐと同時に、山の風景を取り戻すことにも挑戦している。戦後に焼かれた国土を復旧するために木材が必要だったので、山にはスギやヒノキが大量に植えられた。

しかし、海外からの低価格の材木が輸入され山に植えられたスギやヒノキは、使われなくなり放置二次林として残ってしまった。密集したまま成長し、地上面まで日光が届かないため、低木などが成長せず土砂崩れが起こりやすい山になってしまっている。2021年の熱海の土砂崩れの時には、ニュースには上がらないけれど近隣でも同時刻に土砂崩れがおきたそうだ。

人の手で本来の姿から変えられてしまった山を、自分たちの手で元に戻していきたいと、間伐したスギやヒノキを丸太テラスにしている。湘南庭をつくるほど放置二次林も美しい山へと蘇っていく、そんなキレイでカッコいいだけではない庭をつくっているという。丸太のテラスはすごくいい匂いがする。庭をつくる事で、湘南の風景が1mmずつ未来へとつながり、庭をつくる事で環境問題を1mmずつ改善し、庭をつくる事で放置二次林が1mmずつ美しい山へともる。そんな物語を庭に込めたと語る。

食べる松、飲める松

クロマツは年月をかけて大きくなる。今は成長した大きな木が切り倒されている。時代の流れの中である意味仕方がないが、切る前に新しく苗木を植えてほしいと語る。そうすれば未来に風景を紡ぐことができる。実は切った松は食べられ、健康食としても注目を集めているそうだ。日本漢方協会の元会長がまとめられた本では、「漢方のふるさと中国では、松葉は仙人の主食ともいわれている」と記載があるくらい栄養価が高い。クロマツを街へ増やし、毎年管理ででる剪定枝を材料とした湘南の名産品をつくろうと、マツの商品開発も同時進行している。

現在「仙人になりたい松塩」、「香ばし松茶」、「ご飯が香る松葉」をイベントで販売し、街の人たちに紹介し始めた。買ってくれた方が塩麴をつくったり、パンに入れたりと色々なアイデアが膨らむ。風景を未来へつなぐ、風景を記憶に残す、風景で健康になる様に、「人」と「風景」をもっと密接になるようにデザインしていきたいと語った。

これからどうしていきたい

ランドスケープアーキテクトは環境問題と共にできた職能です。ただ、日本の様な狭い国土では、大きな建築をつくるための免罪符のような緑化が増えてきています。そんな中、このプロジェクトで行いたいことは「森と海をつなぐクロマツの庭」のように、1つの大きな思想の元、つくればつくるほど住んでいる場所の風景が未来へとつながり、つくればつくるほど、環境問題が改善されるという高揚感を地元のみなさんと共有しながら進めていきたい。その高揚感は必ず子供達へと受け継がれ、環境を大事にする記憶が植え付けられるはずです。それを「記憶のデザイン」として地域の伝統として、そうする事が当然のようにしていきたい。

パッションポイント

しばられない生き方、サーフィン

チケット(私のできること、得意なこと)

・松に関わる話をします

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

T-SITE湘南
神奈川県藤沢市辻堂元町6丁目20番-1
クロマツがたくさん植えられている。
公式サイト

冬の海から見る富士山

お気に入りの場所(アウェイ)

阿蘇

伊豆

つながり

齋藤佳太郎(サス研@湘南)

・谷口齋隆(駄菓子屋ロック)

・横山寛(ニュー公民館TSUJIDO)

井上美緒(花政)

石井光(EdiblePark湘南)

田尾友輔(SOKO KAKAKA)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

齋藤佳太郎さんからの紹介でインタビュー。松が食べれたり、飲み物にもなったりヨーグルトにもなるという話にはびっくりしました。小さい頃に育った福岡にも生の松原や海の中道という松原があり、その風景を思い出しました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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