流山市にある緑を感じるさんぽや、セントラルパークでの公園活用などこれまでの知見で新しい価値を生み出す伊藤さんにインタビュー。
伊藤奈未(いとうなみ)
1981 年、東京⽣まれ。東京⼤学⼤学院⼯学系研究科都市⼯学専攻 修了(修⼠)。⼤学院在籍時にウィーン⼯科⼤学にて留学。2008 年より組織設計事務所で勤務。アーバンデザイン・ランドスケープ設計およびパブリックスペースの構想・企画・運営の新規事業開拓に携わる。趣味はヨガ・街歩き・まちづくり活動。2020年よりみどりのさんぽマスター、2021年よりSocial Green Projects in NAGAREYAMAの活動を開始。
執筆(旧姓にて)『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?) 、新建築2017年9月号別冊/URBAN ACTIVITY 都市のアクティビティ、新建築2020年10月号別冊/58Public Spaces in Tokyo
大学を卒業し、大手設計会社でランドスケープデザインや都市計画に関する仕事をして来た伊藤さん。都内に住んでいたが日常的なみどりの癒しを求め、流山市に引っ越してた。この街の緑の風景が好きだと話す。しかし人口増加と宅地化が進み、緑ある風景が変わっていく様子を見て、大切にしたいという気持ちから『みどりの作戦会議』と名付けてオンラインイベントで問いかけた。
今後変わりゆく可能性のある緑豊かな資源に対して何ができるのか。みなで探った。一方で、毎日のように散歩して気づいた魅力ある場所は、意外にも知られていなかった。そこで参加者からいっしょにさんぽツアーしたい!というアイデアが出て、さんぽイベントは始まっていく。流山セントラルパーク駅・流山おおたかの森駅を中心に約2キロ圏内に今も残るとかいなかな風景を中心に巡っている。
「みどりのさんぽマスター」というコミュニティは、みどりを楽しむ、FUN&ENJOYな企画をしていく。さんぽで見つけた、ちょっとした、うわぁ!や、あっ!を気軽にシェアしあう。20年以降のコロナ禍で外出制限などもある中で、気軽に近場のみどりを感じられるさんぽコースで小規模なツアーを実施。普段歩き慣れた道も、違う人の見方で新しい発見もあるのが面白い、と語る。
伊藤さんはこれまで、転校や引っ越しを繰り返す中で、いつまでも変わらないでそこにあるだけでうれしい風景や場所があることを知った。みどりは自分にとっては、日々のエネルギー源なので、住む場所を決めるときにも、みどりは必要だと思った。さんぽを通じて一緒に楽しく自然を味わってほしい。
そして、自ずから自然を大切にしたいという気持ちが芽生えたり、身近なみどりのある生活の良さを改めて体感してもらえたら、と願い活動をつづけている。緑と山の境界線(稜線)が好きで、コミュニティでは緑のもこもこと呼んでいる。見晴らしがいい場所、地形を感じられる場所が好きだと語る。
そして、みどりを守りたいという気持ちを大切にして、行動につなげようと勉強会や意見交換も行なっていく。みどりのさんぽマスターは入口で、その先に進みたい人がみどりを守る活動もできる場が徐々にできてきた。
Social Green Projectsでは、みどりがある街の良さを見える化して、守るために何かしらの対価を払ってもいいと感じてもらえるほどにみどりのもつ多面的な価値を高めたい。所有者さんだけのみどりを、それを享受するみんなのみどりにパラダイムシフトできたら面白いと思う。そのための様々なプロジェクトを育てていきたい。
その中の1つ、MYモリデザインprojectでは、自分たちの森と思える場所でチェアリングするための椅子作りワークショップを開いたりしている。今後、コーヒー屋さんに来てもらって森の中で過ごすひと時を楽しんだりしたいからだ。他にも、みどりを守る活動に参加しやすくするための提案などを、流山市に提案したりしている。いつも、「楽しい体験」と「守る体験」の循環は心がけているという。
学生時代は、自転車で走ってその土地、その土地の微地形を感じたりもした。環境に興味があって、おしゃれなゴミ箱をつくってゴミを減らす取り組みをしたりもした。留学先で訪問したウィーンでは、パブリックスペースのうまい使い方を見て、日本に帰って自分の街(当時は東京)で「パブリックスペースで人の心を豊かにする都市計画・ランドスケープ」の仕事をしようと決めて日建設計に就職をした。その経験などからセントラルパーク(流山総合運動公園)の価値にも注目している。公園でパークヨガをやったり、今後は、アーシングマルシェで個人店舗さんたちとエコロジカルなメッセージ性のあるイベントも企画してみたい。
Social Green Projects in NAGAREYAMAの一環でさんぽ活動を発展させて、オープンフォレストを実現したい。流山では「オープンガーデン」が有名だが、隣の松戸には「オープンフォレスト」というのが既にあって、里やまボランティア活動が行われている民有地の森を、森の所有者の協力を得て市民に公開するイベントだという。流山でも同様のイベントを通じて、所有者と市民との垣根を低くしてみんなで森を守る、「みどりの価値のパラダイムシフト」につながれば、と願っている。
ヨガ、ヘルシーなもの一般、ブラタモリ
・流山で、とかいなかな散歩コースのアレンジができます |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
眺め抜群の台地の縁
カフェアンドギャラリーアンティグア
千葉県流山市加3-4-23
公式サイト
みどり豊かなお庭を見ながらゆっくりできる
キジカフェ
千葉県流山市南流山4-5-1
公式サイト
流山の地元コミュニティを感じられる
出来たてワインを飲みながらウィーン街中を見渡せるホイリゲ
オーストリア政府観光局公式サイト
【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!
Facebook Social Green Projects in NAGAREYAMA
Instagram みどりのさんぽマスター
・河尻和佳子(流山市役所)
・原田宏美(空間デザイナー)
・中田理恵(中田製作所)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
河尻さんから紹介していただきインタビュー。さんぽと聞いて私も歩くのが好きで、ランドスケープや都市景観にも興味あったので、楽しくお話を聞かせていただきました。いつか流山のさんぽコース行ってみたいです。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |