対話型鑑賞を通じてアート作品と人とを結ぶアートコミュニケーターとして活動する近藤乃梨子さんにインタビュー。
近藤 乃梨子
アート・コミュニケーター
2004年女子美術大学芸術学科卒業。編集プロダクション、美術館勤務を経て、2015年よりNPO ARDAにてアーツ×ダイアローグ事業に参画。市民ボランティアと協働し学校での美術鑑賞授業や高齢者施設へのアウトリーチ活動をはじめとしたプロジェクト運営を担う。自らも鑑賞ファシリテーターとして活動しながら、アートの作用で人々の毎日が彩り豊かになるよう、探求を続けている。アートとコミュニケーションを軸とした大人向けのワークショップ「ヨリミチミュージアム」主宰。
とびらプロジェクト とびラー2期生(2013.4~2016.3)
一般社団法人アプリシエイトアプローチ 代表理事(2018.2〜)
コミュニケーションをすることで作品と人を結び、作品を見る人同士、場所とをつなぐ活動を行ったり、杉並区などの小学校での美術鑑賞、佐倉市立美術館でのプロジェクトなど対話型鑑賞を軸にアートに関わっている近藤乃梨子さん。女子美術大学を卒業してからDTPデザインなどを経て現在に至る。大学時代から鑑賞する人と作品をつなぐ仕事をしていきたいと考えていた。
対話型鑑賞とは、1980年代半ばに、ニューヨーク近代美術館で開発された美術の鑑賞法で、日本では2000年ごろから、教育普及プログラムの一環として各美術館で行われたり、学校教育の現場などで取り入れられてきた。例えばグループが一つの作品を前にして、「ファシリテーター」が進行役となり、それぞれの感想や自由な発想を話し、互いに聴きながら対話が進んでいく。一点ずつの作品について鑑賞者が見て考えたことから自由な発想で深く掘り下げていくということが大きな特徴だという。
千葉県柏市の市民ギャラリーでも、発見したことや考えたことを話し合いながら、作品の世界を味わう「おしゃべり鑑賞会」を仲間と一緒に行った。近藤さんが好きな作家は、内藤礼さんだという。
小学生の頃から図工が好きで、ずっと美術をやりたいと思ってきた。高校時代から美術館に行くようになり、はじめは印象派ばかりみていた。大学生時代に訪れたドイツでの美術館で、ドイツ語の解説しかなく作品をただひたすらみるという体験をした。そんな時、現代アートをみて作品がスッと自分に入ってくる感覚を覚えた。自分の中に現代アートへのとっかかりを見つけた瞬間だった。
自分が生きている時代と、同じ時代に生きている作家がシンクロする。作品を見ても答えがなくて、いろんなアプローチをしてみて、思考するのが好きだと気づいた。そんな時間にワクワクした。美術の楽しみ方を自分なりに見つけ始めたとき、大学の先生に対話型鑑賞のことを教えてもらう。それからいろいろな経由地を経て、鑑賞する人に関わる仕事ができるようになった。
美術館との協働で、子どもたちと作品との出会いをサポートする鑑賞ツールを作成。コロナで対面プログラムが難しくなって、ツールを介してプログラム体験と同じようなことができないか考えることが増えたそうだ。こうしたツール作成は、編集プロダクションでの経験が生きているという。
作品を見ていいなと思うこと、1人だと伝えれる人がいない。グループで美術館に行って、そこで思ったことや感じたことを意見交換することで違う面白さがある。2020年以降のコロナ禍で美術館での開催は難しくなったが、オンラインワークショップなどで対話型鑑賞は続け、海外からも参加してくれて、新しい繋がりができている。
これまで川崎市外の美術館や地域での活動が多く、いつも外から来た人感がどこかにあったので、川崎市内での活動もやっていきたい。自分たちの地域、自分たちの場所で還元したい。
四国香川の牟礼町にあるイサム・ノグチさんのアトリエを見て、自分も暮らしと美術の拠点を持ちたいと考えている。
クラフトビール、写真
・一緒に美術館にいって、美術館で遊びましょう〜 |
・親子で美術館での楽しみ方を伝授します。 |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
生田緑地
神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1−4
メタセコイアの林で空を見上げるのがお気に入り。この構図の写真が何枚もスマホから出てきました(笑)
蛍も毎年見に行きます。
JR小田原駅
神奈川県小田原市城山1丁目1−1
出身地、小田原駅の巨大小田原提灯。ホームタウンに帰ってきた気持ちになる光景です。
江之浦測候所
神奈川県小田原市江之浦
公式サイト
晴れの日もいいけど、しっとりした雨の日も気持ちがいいです。
・熊谷薫(アートマネージャー)
・上神田健太(家守舎桃ノ音アカリ)
・濱野かほる(アートコミュニケーター)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
熊谷薫さんから紹介。同じ川崎市内で活動してるTAMA VOICESのメンバーでもある近藤さん。私も美術館巡りも現代アートも好きですが、そんな好きなことを仕事にできてるのが羨ましくも感じました。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |